さびたプラスネジが、ドライバーでいくら力を入れても回らない。
そんなときに使うのが、ハンマーでたたいて使う手動のインパクトドライバーです。
ただ、向きの合わせ方やたたき方を間違えると、ネジ頭の十字がつぶれて外せなくなります。
インパクトドライバーをハンマーでたたく使い方を、準備からたたいたあとの仕上げまで順番に紹介します。
手でたたくインパクトドライバーは固まったネジをゆるめる道具
手動のインパクトドライバーは、ハンドインパクトドライバーや打撃ドライバーとも呼ばれます。
グリップの後ろをハンマーでたたくと、中の仕組みがたたいた力を回す力に変えます。
そのため、手で回すドライバーでは動かないネジでも回せることがあります。
ネジを押し付ける力と回す力が同時にかかるので、ビットが溝から浮きにくいのも手で回すドライバーとの違いです。
バイクのブレーキまわりのカバーや、車やバイクの古い部品のネジを外すときによく使われています。
家具やサッシのさびたネジを外すときにも出番があります。
たたく前の準備は向き合わせとビット選びの2つ
ハンマーを持つ前に、先に2つだけ確かめます。
回る向きがゆるめる側になっているかと、ビットがネジ頭の溝にすき間なく合っているかです。
この2つがずれたままたたくと、ネジが締まる方向に回ったり、溝がつぶれたりします。
先端を押して回る向きをLに合わせる
多くの手動インパクトドライバーは、本体のLとRで回る向きを切り替えます。
ネジをゆるめるならLです。
切り替えたら、先端を机などに軽く押し付けてみてください。
押し付けたときに先端が回る向きが、たたいたときに回る向きです。
左に回ればゆるめる側に合っています。
ビットはネジ頭の十字にすき間なく入る番号を選ぶ
プラスのビットには1番、2番、3番などの大きさがあります。
付属のビットだけでは合わないネジもあるので、何本か当ててみて、いちばんぐらつかないものを選びましょう。
ビットが合っていないと、ネジが回らないうえに、ネジとビットの両方が傷みやすくなります。
先の角が丸くなったビットは、早めに新しいものに替えておくと溝をつぶしにくいです。
さびたネジには浸透潤滑剤を吹いて少し待つ
さびで固まったネジは、ネジのまわりに浸透潤滑剤を吹き付けてからたたくと回りやすくなります。
吹いてすぐより、しばらく置いてしみこませてからのほうが効きます。
潤滑剤がネジ頭の溝に残っているとビットがすべるので、溝の中はふき取っておきましょう。
ハンマーでたたく順番は4ステップ
準備ができたら、次の順番でたたきます。
いちばん大事なのは、たたく前にゆるめる方向へひねりながら押し付けておくことです。
- ビットをネジ頭の溝に差し込み、ネジに対してまっすぐ立てる
- グリップを握り、ゆるめる方向へ軽くひねりながらネジに押し付ける
- ひねりと押し付けを保ったまま、グリップの後ろをハンマーで強めに1回たたく
- ネジが少しでも回ったら、あとは普通のドライバーに持ち替えて回す
2番目の「ひねりながら押し付ける」を飛ばすと、中の仕組みが遊んだぶんだけ力が逃げます。
たたいた力が回す力に変わらず、何度たたいてもネジが動きません。
ただし押し付けすぎると、今度は中の仕組みが回るすき間がなくなります。
本体が少し沈むくらいの力で押さえるのが目安です。
たたいた瞬間はグリップを離さない
たたいた瞬間、グリップにはネジと逆向きに回ろうとする力がかかります。
グリップを軽く持っているだけだと、ビットが溝から外れて溝をつぶします。
グリップはしっかり握ったまま、ハンマーだけを振りましょう。
部品が動かないように固定してからたたく
たたく相手の部品がぐらぐらしていると、たたいた力が部品ごと逃げてしまいます。
小さな部品は万力で挟むか、台の上にしっかり置いてからたたきます。
バイクや車に付いたままの部品なら、車体が動かないようにスタンドをかけてから作業しましょう。
ハンマーは金属製で重めのものを使う
手動インパクトドライバーをたたくハンマーは、金属製で重さのあるものが向いています。
プラスチックハンマーでたたいても、力が吸収されてしまい、回す力にほとんど変わりません。
重いハンマーのほうが、少ない回数で大きな力を伝えられます。
とはいえ、力任せに何度もたたけばいいわけではありません。
強くたたきすぎると、ネジが折れたり、まわりの部品が割れたりすることがあります。
まずは強めに1回たたいて様子を見て、回らなければ少しずつ力を上げていきましょう。
回らないまま何度もたたくと溝がつぶれる
何回たたいても回らないのに続けていると、ネジ頭の溝が少しずつつぶれていきます。
溝が完全につぶれる前に、手動インパクトドライバーを使うのが外せるかどうかの分かれ目です。
普通のドライバーで何度もなめかけたあとでは、インパクトドライバーでも回せないことがあります。
固いと感じたら、ドライバーで粘らず早めに持ち替えるのがおすすめです。
溝がつぶれかけたらビットを軽くたたいて形を戻す
溝の角が少し丸くなってしまった程度なら、形を戻せることがあります。
ビットを溝に当てて、ハンマーで軽くたたき込むと、溝がビットの形に戻ります。
そのあとで手動インパクトドライバーをセットして、もう一度たたいてみてください。
溝がほとんど残っていない場合は、ネジはずし用のビットやペンチで頭をつかむ方法に切り替えたほうが早いです。
貫通ドライバーや電動インパクトドライバーとは使い道が違う
「ハンマーでたたけるドライバー」は、手動インパクトドライバーだけではありません。
固いネジをゆるめる専用なら手動インパクトドライバー、ふだんのネジ回しもしたいなら貫通ドライバーと考えると選びやすいです。
電動のインパクトドライバーは、木材にビスを打ち込んだり、ボルトを締めたりするのが主な使い道です。
| 道具 | ハンマーの使い方 | 向いている作業 |
|---|---|---|
| 手動インパクトドライバー | 後ろをたたいて回す力に変える | さびや固着で回らないネジをゆるめる |
| 貫通ドライバー | 後ろをたたいてネジに衝撃を与える | ふだんのネジ回しと軽い固着 |
| 電動インパクトドライバー | 中のハンマーがモーターで打撃する | ビスの打ち込みやボルトの締め付け |
貫通ドライバーは、先端からグリップの後ろまで金属の軸が通っているドライバーです。
後ろをたたけますが、たたいた力はそのままネジに当たるだけで、回す力には変わりません。
メーカーも、たたきすぎず軽く衝撃を与える使い方をすすめています。
強くたたく必要があるほど固いネジなら、手動インパクトドライバーのほうが向いています。
固いネジは向きとビットを確かめてから1回目をたたく
手動インパクトドライバーで失敗する原因の多くは、1回目をたたく前にあります。
向きをLにして先端で確かめる、ビットを溝にすき間なく合わせる、ひねりながら押し付けるの3つをそろえてから、1回目をたたきましょう。
それでも回らなければ、浸透潤滑剤を足してしばらく待ち、ハンマーの力を少しずつ上げていきます。
溝がつぶれかけたら、たたく前に溝の形を戻すことも忘れずに。
回らないネジを見つけたら、まずはドライバーで粘らずに、インパクトドライバーの準備から始めてみてください。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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