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DX・AI技術・事例解説

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【通信業界でのAI活用事例】AIを活用した新しい社会インフラの構築

2020年09月14日

通信業界について

通信業界は社会のインフラを担ってきた業界のひとつです。古くは家に1台は必ず設置してあった固定電話の回線、現在ではインターネットを利用したモバイル接続サービスを提供するなど、社会基盤を形成してきました。

総務省が発表している『令和元年度版 情報通信白書』によると、情報通信産業の実質GDPは99.8兆円と全産業の10.2%を占めており、全産業の中でも最大の規模を誇ります。その情報通信業の中でも、今回のテーマである電気通信事業は19.9兆円と2番目に高い売上比率を占めています。

また、ここ数年の間でも電気通信業界は急速な変化を遂げており、これからも大きな変化を迎えようとしています。

令和元年度版 情報通信白書』によれば、会社や家庭などにネット回線を引く固定回線の2017年の売上比率は32.4%です。『平成25年度版 情報通信白書』によると2008年の固定回線の売上比率は41.8%ですから、10年の間に10%近く売上比率が下がっています。

固定通信の比率が下がっているということは、移動通信をはじめとしたその他の通信比率が上がってきていると考えられますね。例えば、スマートフォンや携帯電話が国民に広く普及したことも、通信の形が変化した理由のひとつでしょう。情報社会の変化とともに、情報サービスの基盤となっている通信業界のあり方も変化しています。

さらに、2020年からは新しい移動通信システムである「5G(第5世代移動通信システム)」を利用したサービスへの移行が始まりました。5Gの通信環境が整えば、より大きなデータ通信や処理を必要とするIoTやAI関連のサービス開発に拍車がかかると考えられ、注目を集めています。

このように、通信業界は今後10年、20年と続く新たな社会インフラを構築し、生活をより豊かにする役割を担っています。

通信業界の課題

現在の通信業界が抱えている課題は大きく下記の2つが挙げられます。

1. 高品質、安定性を持った通信サービス提供
2. 多様なビジネスサービスへの対応

ひとつずつ見ていきましょう。

高品質、安定性を持った通信サービス提供

通信サービスは24時間365日、利用できて当たり前のものです。「電気通信事業法」では通信サービスが止まってしまった場合、国民生活や社会経済活動に深刻な影響を与えかねないとして、厳格に定められています。

その基準の高さは、1時間でも通信速度の大幅な低下や通信品質の低下が起こった場合は、重大事故として総務大臣への申告義務が発生するほどシビアなものです。

そのため高品質で安定性を持った通信サービスの提供を行うことは、通信業界において最低限満たすべき事項となっています。

通信業界では人の手や目によって24時間監視を行なっていましたが、人手不足やヒューマンエラーを解消するためにAIの活用を促進していくことが注目されています。

内閣が主導している「Society 5.0」の中でも、通信は社会においてますます欠かせない存在となっていくため、今後は通信サービスの高品質、安定性はより高い水準が求められてくるでしょう。

多様なビジネスサービスへの最適化

今後、次世代通信の普及とともに、多様なサービスが展開されることが予想されます。サービスごとに、通信に求められることは異なりますので、それぞれのビジネスに最適化された通信技術の展開が求められます。

たとえば自動車の自動運転です。ソフトバンクでは2019年7月、国内初のハンドルのない自動運転バスを公道で走らせる実証実験を行うなど、社会実装も現実味を帯びてきました。

自動運転では、車間距離の確認やハンドル操作、信号の認識など、人間が判断していたものを、AIを駆使してリアルタイムに判断する必要があります。

このように、通信サービスが必要とされていなかったものでも、高品質な通信が求められるようになってきました。自動車、製造、農業など通信を利用した多様なビジネスに最適化した通信を展開していくことが期待されます。

(参照元:自動運転時代はもうはじまっている。国内初 ハンドルがないバスの公道走行を実現)
(参照元:クボタのスマート農業)

通信業界におけるAIの活用事例

AIによる携帯電話ネットワークの監視体制の構築

AIを利用することで、高品質な通信サービスの確保が可能です。なぜならこれまで人の目によって監視していた、通信状況管理をAIに任せることによって通信異常の即時発見、アラート発生時の対応手順の即時明確化が行えるからです。

事例

ソフトバンクが携帯電話ネットワークの監視にWatsonを活用して、24時間365日監視業務を行いました。

課題

携帯電話ネットワークは24時間365日動き続けなければならないため、アラートが発生した場合、たとえ深夜でも担当者が出勤して対応していました。平均して1ヶ月に11回程度出勤しており、担当者の対応時間を減らすことが課題でした。

解決策

WatsonのNatural Language Classifier(自然言語分類)を導入することで、アラートをスコア化し順位付けを行いました。また、R&R(Retrieve & Rank/原因や対応手順を提示)によって対応手順が明確化されました。

これまで人の手によって行なっていた業務をAIに任せることで、作業の効率化を図りました。

効果

アラート発生から対応までの時間が1/10となりました。従来は人の手によって対応まで23分、AI導入後は2.5分です。業務対応人数も半分になり、現場の社員満足度も向上しました。(参照元:AIで対応時間を90%削減–ソフトバンクが語った通信事業への導入効果)

交通サービスへの通信技術最適化による渋滞予知・混雑緩和

通信は即時性をより求められるようになりました。リアルタイムであらゆる情報をやり取りすることは、より発展した社会インフラの構築へと繋がります。「いま、どこに、どのような人」がいるのかを把握することで、未来の予測を立てられるようになります。

(引用元:NEXCO東日本プレスリリースより)

事例

NEXCO東日本がドコモの「モバイル空間統計」を活用し、AIによる渋滞予知を東京湾アクアラインで行いました。

課題

夕方から夜にかけて東京湾アクアラインの渋滞が頻発してしまうため、利用者の満足度が伸び悩んでいることが課題でした。

解決策

房総半島における人口分布をAIに機械学習させ、昼の人口分布から夕方の渋滞を予測するAI渋滞予知を行いました。予測した渋滞予知を一般に公開することで帰宅時間帯の分散と周辺地域の活性化を促しました。

効果

従来の「渋滞予報カレンダー」と比較すると、10km以上の渋滞の見逃し率は6%→1%、15km以上では2%→0%に改善されました。また、予測渋滞距離別の空振り率は18%→0%と大きく改善されました。

(参照元:NEXCO東日本とNTTドコモ、【CA】東京湾アクアラインにおいて「AI渋滞予知」による渋滞予測実証実験を開始)
(参照元:モバイル空間統計のリアルタイム化 × AI 技術 = 未来予測?)

AIチャットボット導入によるカスタマーサポート体制の強化

利用者の多い通信業界では、店舗での応対時間の減少、待ち時間の緩和、コールセンターへのつながりにくさが大きな課題として挙げられていました。業務を効率化することで、多くのお客様の対応に当てることができれば顧客満足度の向上にも繋がります。

(引用元:おたすけロボット公式サイトより)

事例

Automagi社のチャットbotを利用して、ユーザーの困りごとを解決できるように24時間365日サポートする「おたすけロボット」の提供を開始しました。

課題

NTTドコモのユーザーに製品やサービスに関するトラブルが起きても、営業時間外で迅速に対応できないケースもあり、顧客満足度が下がっていました。

解決策

おたすけロボットを導入することで、ユーザーはトラブルがあった際にチャットで簡単に問い合わせから解決までを行うことができるようになりました。わかりにくい箇所は動画や図解を用いてサポートすることで、より詳細にサポートを行いました。

効果

営業時間外でもユーザーが問い合わせられるようになったことにより、顧客満足度を向上することができました。また問い合わせ業務はマンパワーが必要ですが、業務対応の人員削減にもつながりました。

(参照元:スマートフォンやドコモ光のお困りごとについて、手軽に解決できるよう24時間365日サポートする「おたすけロボット」を提供しました)
(参照元:ドコモのお客さまサポートとしてチャットボット「おたすけロボット」を提供 )

まとめ

通信業界では社会インフラとして、安定的にサービスを稼働させる必要性があります。これからの社会は「5G」や「AI」「IoT」の進歩によって、重要度はますます上がっていくでしょう。

通信業界はAIとも密接に関わっている業界なので、今後も他業界に先駆けてさまざまな取り組みが行われていくことが期待されます。先進事例として、他の業界の方も参考にしていただけるとよいのではないでしょうか。

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