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【商社業界でのAI活用事例】AIやIoTを利用した新しい商社の在り方

2020年11月24日

商社業界について

商社業界のはじまりは、1865年に坂本龍馬がつくった亀山社中だと言われています。1854年に日本は200年ほど続いた鎖国に終止符を打ち、開国しました。そこで貿易の仲介や武器の運搬などを請け負うために亀山社中はつくられました。

そんな商社業界は万能と言われていた時期もありますが、苦難の時代も多々ありました。時代に揉まれながらも常に変化をしていき、今の商社業界があります。2019年の全業界売上高ランキングでは2位に三菱商事、6位に伊藤忠商事、11位に丸紅、12位に三井物産、23位に住友商事がランクインしています。現在日本で最も大きな業界の一つといえるでしょう。

商社の主な事業は「トレーディング」と「事業投資」です。

トレーディングは、中間業者として商材の売り手と買い手を繋げて、その仲介料をもらうという分かりやすいビジネスです。それに加え、商社独自の、商社を仲介したからこそ発生する価値を作り出しています。

投資事業は、目を付けた企業に出資し、さらに商社自らが経営に参画していくビジネスです。商社独自の知識や経営ノウハウや人材などを総動員して長期的に経営をサポートしていき、出資先の企業の利益を上げ、それが商社の利益につながるわけです。

 

商社は大きく分けて専門商社と総合商社に分けられます。

専門商社は専門的な商材を偏って扱います。専門商社は、事業投資よりもトレーディングを主に行っています。

総合商社は資源や製品やサービスなどのあらゆる商材を扱います。また、総合商社は事業投資にも大きな力を入れています。近年は事業投資の割合が高くなっています。

近年好調の商社業界ですが、また時代の変化に対応すべく、AIやIoTなどの新しいトレンドを取り入れる取り組みを積極的に行っています。

(参考:2019年 売上高 ランキング | Strainer)

商社業界の課題

現在、商社業界は大きく以下の二つの課題を抱えています。

  1. 非資源分野への注力
  2. モノの取引に加えた更なる価値提供

それではひとつずつ見ていきましょう。

非資源分野への注力

かつての総合商社は主に鉄鉱石や原油、天然ガスなどの資源を主に扱っていました。しかし、資源は世界経済などによって大きく価格が左右されるため、収益がコントロールしづらいというデメリットがあります。

原油を例にとると、2014年7月時点で約100ドル/バレルだったのが、2015年9月には約40ドル/バレルまで下落しています。1年2か月で原油の価値が約60%減ってしまったことになります。

要は、100円で販売していたものが40円でしか販売できなくなってしまうのです。これは商社にとって大きな収入減に繋がります。このように資源を主に扱うことは、収益がコントロールできなくなるというリスクがあるのです。

近年は資源価格が落ち込んでいたことも重なって、総合商社は新しい分野に目を付け始めました。それが非資源分野です。非資源分野とは線維や食料、機械などのことをさします。

以前から非資源分野に力を入れていた伊藤忠商事は近年業績を最も伸ばしており、2020年10月15日時点で時価総額は商社業界でトップになっています。

どの商社もこのような近年の傾向により、非資源の取引の割合を増やしています。しかし、未だ資源で得る収益のほうが割合として高い商社が多く、今以上に非資源分野へ注力することが求められているのです。

(参考:第2節 資源価格の動向:通商白書2019年版(METI/経済産業省))

(参考:総合商社業界 : 銘柄一覧 : 日経会社情報DIGITAL : 日経電子版)

モノの取引に加えた更なる価値提供

トレーディングの説明のときに少し触れましたが、商社はただ商材の取引の仲介をするだけでなく、商社を介したからこそ発生する付加価値を作り出しています。

ではなぜこの付加価値をつける必要があるのでしょうか。それは、ただモノの仲介をするだけなら、商社を介さずにその企業が独自に行ったほうがコストがかからないため、商社は省かれてしまうのです。

そのため、それにプラスして付加価値を作る必要があります。

この付加価値には様々なものがあります。

例えば、マーケティング機能を付加価値にするとします。すると、商社が持っている今までの膨大なデータから最適な取引相手を見つけてくれたりと、マーケティングの面で補佐してくれるというわけです。

他にも、購買集約を付加価値とすると、メーカーが製品を作るための材料を商社がまとめて集めてくれたりなどします。この場合、取引に必要な契約などをすべて商社が担うのでメーカーとしては面倒ごとが減ります。

このように、付加価値にはもっと独自性のあるものまで様々なものが考えられます。商社は様々な付加価値を作っていますが、ビジネスで生き残っていくには、これからも新しい付加価値を作り出していく必要があります。

商社業界におけるAIの活用事例

AIによる豚の体重の推測

豚はただ太らせればいいというわけではなく、115キロー120キロという適切な体重があり、出荷時にそれよりも重かったり軽かったりすると価値が落ちてしまいます。そのため豚の体重を定期的に測る必要があります。しかし、この作業は手間がかかるため、もっと簡単な方法が求められていました。

事例

伊藤忠商事がNTTテクノクロスと協力し、AIを使って養豚所の豚の体重を正確に予測することに成功しました。

課題

豚は体重が重く、動くため、豚の体重を測るのに時間と体力が必要になるというのが課題でした。

解決策

半年間かけて養豚場の豚を撮影して大量の画像データを集め、映像解析技術とAIを使い、豚の写真を撮影しただけでその豚の体重の予測ができる仕組みを作りました。

効果

重労働がなくなり、時間の節約につながりました。また、家畜農家の悩みを解決する新しい価値を提供したことによって、飼料の販売も増えました。

(参考:シンポジウム 商社ビジネス最前線 ~商社のイノベーションとパートナーシップ~)

化学品商社のAIによるMI(マテリアルズ・インフォマティクス)の導入

近年、材料開発において、AIの技術を含む情報科学(インフォマティクス)の技術を用いて高速的に材料開発をする分野であるマテリアルズ・インフォマティクスが注目されています。

事例

化学品商社の長瀬産業がIBMと協力し、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)の導入を進めています。

課題

新規素材開発は実験や試作を繰り返す必要があるため、時間とコストがかかってしまうのが課題です。

解決策

AIや高速データ処理を用いて代替材料や独自の新材料を探索できるマテリアルズ・インフォマティクスのプラットフォームの開発を進めています。

期待される効果

開発の時間やコストを大幅に削減できることが推測されます。革新的新規材料の発見も見込まれています。

(参考:化学、バイオ素材メーカー向け新材料探索プラットフォーム IBMとの共同開発により2020年度のサービス開始を目指す)

AIやIoTの技術を使ったスマート工場化

(引用元:デジタルトランスフォーメーションチャンネルより)

現在、IoTの技術を使い工場の機械や生産ラインをインターネットに繋げ、そこから得た情報をAIで処理し、工場を制御するスマート工場が注目されています。

事例

多くのエレクトロニクス商社が工場のスマート工場化を進めています。

課題

従来の工場では、生産ラインのどこかが故障したときやトラブルが発生したときは生産を停止しないといけません。また、希少価値を出すために顧客に合わせて製品をカスタマイズする場合、大量生産よりも生産性が大きく落ちてしまいます。また、最近は工場の人手不足も問題になっています。

解決策

工場をスマート工場化します。そして、IoTで得た情報をAIで処理し、バーチャル空間に工場を再現します。バーチャル空間でシミュレーションをすることによって機械の故障の予測をできます。また、AIで機械を制御し、故障やトラブル時に計画を変更し、生産をストップしない選択肢を探ることができます。また、同じくAIによってカスタマイズ時の機械の設定の変更をスムーズに行います。

効果

工場の柔軟性が上がり、様々な状況に対応することができるようになります。効率があがることによって生産力がアップするでしょう。また、人がやることが減るので人手不足も解消されることが予測されます。

(参考:【活用事例】スマート工場とは?工場のIoT導入による生産現場の高収益モデルの構築 導入時の課題  | 物流機器・輸送機器のレンタル | upr)

まとめ

このように、商社業界は「AI」や「IoT」の導入に積極的に乗り出し、非資源分野への参入や新しい付加価値の創造を進めています。

無限の可能性を秘めたこれらの技術をいかに早く取り入れるかで、数年後の商社業界の中のランキングも大きく変わっていきますし、ひいては世界経済にも大きな影響を与えていくでしょう。今後の動向に注目です。

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