針金を曲げたいのに、家のどこを探してもペンチが出てこない。買いに行く時間はなくて、今ある物で何とかしたい。そういうときに、ペンチの代用で針金や金具を曲げられる物は家の中に3つあります。太い物はスパナかモンキーレンチ、細い物の輪はペンの軸、直角は机の角です。読み終えたら、手元の針金の太さを見て、どれを使えばいいかがその場で決まります。
太い針金はスパナかモンキーレンチではさんで曲げる
ペンチの代わりでいちばん力が出るのは、スパナとモンキーレンチです。口に針金を差し込んで、柄を手前に倒すと、柄の長さがてこになって太い針金でも曲がります。口の面が平らなので、針金がつぶれずに角が付きます。
やり方は、曲げたい位置のすぐ横をスパナの口にはさみ、針金の反対側を手か万力で押さえて、柄を倒すだけです。モンキーレンチなら口の幅を針金に合わせられるので、がたが出ません。金具の板を折るときも、板の幅に合わせて口を詰めれば、折り目がまっすぐ出ます。
レンチが2本あるなら、曲げる位置の両側をそれぞれではさみます。片方を動かさず、もう片方を倒すと、曲がる位置がずれません。知恵袋の回答でも、太い針金にはモンキーレンチを2本使うか、175〜200mmのペンチを2本使うのがよいと書かれています。
ハンガーの針金くらいの太さになると、手では曲がりません。スパナかモンキーレンチをまず探して、無ければ次に書く机の角と万力を使ってください。
細い針金の輪はペンや鉛筆の軸に巻いて作る
針金を輪やフックの形にしたいときは、はさむ道具は要りません。作りたい輪の大きさに合う太さの丸い棒に、針金を巻き付けるだけで輪ができます。ラジオペンチの丸い先で作るのと同じ形になります。
棒は、ボールペン、鉛筆、プラスドライバーの軸、菜箸、マジックのどれでも使えます。針金の端を親指で棒に押さえて、もう片方の手で針金を棒に沿って回します。小さい輪は精密ドライバー、大きい輪は太いマジック、と棒の太さで輪の大きさを決めてください。
らせんにしたいときは、同じ棒に続けて巻いていきます。工作教材のアーテックの解説には、らせんは鉛筆やペンなどの丸い棒に巻き付けて作り、巻き始めと巻き終わりを変えると形を変えられると書かれています。ゆるい曲線は、棒に当てて親指のはらで押し出すようにゆっくり曲げます。
直角に折るなら机の角か万力に当てる
針金や金具をきっちり直角に折りたいときは、硬い角を使います。折りたい位置を机の角や鉄の定規の縁に合わせて、両側を押し下げると、角の線に沿って直角に折れます。角がしっかりしていれば、木の机でもコンクリートブロックでも同じです。
万力があれば、折りたい位置で針金をはさんで固定してから、出ている側を上から押します。固定されている分、位置がずれず、太い針金でも折れます。万力が無い場合は、机の角にはさんだ針金を片手で強く押さえ、もう片方の手で折ります。
同じ角度で何本も曲げたいときは、木の板に2本のくぎを打ち、その間に針金を通して曲げます。くぎの間隔を変えれば、角度も変えられます。金具の板を折るときは、折り目にカッターの背で軽く筋を付けてから折ると、筋の線どおりにまっすぐ折れます。
手袋をすればアルミ線と細い鉄線は手で曲がる
やわらかい針金なら、道具無しでも曲がります。革か厚手の手袋をして、曲げたい位置を両手の親指で押さえ、少しずつ角度を付けていきます。園芸用のアルミ線や工作用のカラーワイヤーは、この方法で十分です。
手で曲げていいのは、アルミ線と銅線なら2mmまで、鉄の針金なら1mmまでが目安です。それより太い鉄線は指の皮をはさんで痛いだけで、急な角度にはなりません。太さで方法を選ぶと、次の表のようになります。
| 材質と太さ | 向く方法 | 気をつけること |
|---|---|---|
| アルミ線、銅線 2mmまで | 手袋をして手で、または棒に巻く | 何度も曲げ直すと折れる |
| 鉄の針金 1mmまで | 棒に巻く、机の角 | 端で指を切らないよう手袋をする |
| 鉄の針金 1〜2mm | スパナ、モンキーレンチ | 曲げる位置の両側をはさむ |
| 鉄の針金 2mm超、ステンレス線 | レンチ2本、万力 | 跳ね返るので、ねらいより深めに曲げる |
ステンレス線は硬くて、曲げても少し戻ります。ねらった角度より少し深く曲げてから戻すと、思った角度で止まります。素手で曲げると針金の端で指を切るので、どの太さでも手袋だけは省かないでください。
ニッパー、はさみ、爪切りは曲げる代用にならない
形がペンチに似ているからといって、何でも代わりになるわけではありません。刃で切る道具と、先の細い道具は、曲げる代用には向きません。ニッパー、はさみ、爪切り、毛抜き、ピンセットがこれに当たります。
ニッパーではさむと、刃が針金に食い込んで切れ目が入り、そこから折れます。刃も欠けます。はさみは軸がゆるんで切れなくなり、爪切りは細い線を切ることはできても曲げる力は出ません。毛抜きとピンセットは点ではさむので、力をかけると先が曲がって使えなくなります。
ペンチの代用で紹介されることが多い道具のうち、曲げる作業に使えるのはプライヤーとバイスグリップです。どちらも口が平らで、はさんだまま固定できます。持っているなら、スパナより先にこちらを使ってください。
曲げ直しは2回まで、端は目の高さから外す
代用の道具は、ペンチより手が針金に近くなります。同じ場所を曲げ直すのは2回まで、針金の端を目の高さに置かない、この2つを守ればけがはほぼ防げます。慣れないうちは、ゆっくり動かしてください。
金属は同じ場所を何度も曲げると、金属疲労を起こして折れます。曲げ直しを繰り返して折る方法は、ペンチ無しで針金を切りたいときには使えますが、形を作りたいときは逆効果です。角度を間違えたら2回目で決めて、それでもだめなら新しい針金に替えてください。
曲げた針金は、手を離した瞬間に跳ね返ることがあります。作業は胸の高さより下でやり、針金の端が顔に向かない向きで持ちます。切った端は鋭いので、作業が終わったらやすりで丸めるか、テープを巻いておくと、あとで触ったときに切りません。
太い針金を赤くなるまで熱すれば小さな力で曲がる、という方法も知恵袋には載っています。ただし家の中でバーナーを使うのは火事とやけどの危険があるので、屋外で耐熱の手袋と消火用の水を用意できる人だけにしてください。熱しすぎると材質によっては折れるとも書かれています。
曲げたい物の太さを測れば使う道具が決まる
ここまで読んだら、あとは針金の太さを見るだけです。定規で太さを測って、1mm以下なら棒に巻くか手で、1〜2mmならスパナ、それより太ければレンチ2本か万力、この分け方で道具が決まります。形で選ぶなら、輪は棒、直角は机の角です。
- 針金の太さを定規で測り、材質(アルミ、銅、鉄、ステンレス)を見る
- 手袋をはめる
- 輪やらせんなら、輪の大きさに合う棒に巻く
- 直角なら、机の角か万力に当てて折る
- 太い針金や金具の板なら、スパナかモンキーレンチではさんで柄を倒す
- 角度を間違えても、曲げ直しは2回まで
- 切った端はやすりで丸めるか、テープを巻く
今回は代用で済んでも、針金を曲げる機会が月に何度もあるなら、ラジオペンチを1本置いておくと早いです。細い線と細かい作業ならラジオペンチ、太い線と力の要る作業なら175mmのペンチが向きます。まずは手元の針金を測って、上の分け方でその場の作業を終わらせてください。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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