買ってきた赤ワインを数年後の記念日に開けたい。 そんな熟成向きの1台は、普通のワインセラーとは少し選ぶ軸が違います。

そもそも熟成向きワインセラーに必要な条件とは
熟成向けのワインセラーで筆者が重視しているのは3つだけです。 温度が動かないこと、振動が少ないこと、湿度が保たれること。 この3つを押さえたモデルであれば、10年単位の寝かせ方にもついてきてくれます。
ワインショップ巡りで聞いたところ、家庭用で長期熟成に耐えるセラーはコンプレッサー式がほぼ前提。 ペルチェ式は温度の動きが大きく、熟成には向かないという声が多かったです。
熟成向けワインセラー人気4モデル比較
第1位:さくら製作所 ZERO Advance SA22 22本収納 コンプレッサー式 2温度

熟成目的で最初に候補に挙がるのがさくら製作所のZERO Advance。 温度ムラが小さいという評判を、試しに自宅で温度ロガーを置いて24時間計測したところ、設定14℃に対して13.7〜14.3℃の範囲で収まっていました。 正直、これは家庭用としてはかなり優秀な数字です。
惜しい部分はお値段。 エントリーモデルに比べると1.5倍ほどしますが、10年単位で使うなら年換算で考えると納得できる範囲です。
温度ブレの少なさで長期熟成派から指名買いされる定番。
第2位:ルフィエール ENTRY 15(C15B) コンプレッサー式 15本収納

熟成初心者がまず試しに導入するならこれ、と取材した酒販店の店長が推していた15本クラスのコンプレッサー式です。 ペルチェ式に比べて冷却力が段違いで、夏場の庫内温度ブレもぐっと小さい印象でした。 15本というサイズ感が「とりあえず気になる銘柄を寝かせる」用途にちょうど合います。

短所は庫内灯の明るさが控えめなこと。 夜にボトルを選ぶときはちょっと見づらいので、スマホライトを併用しています。
熟成デビューに手を出しやすい15本クラスの入門モデル。
第3位:フォルスタージャパン グランセラー SG-122GD 41本収納 2温度タイプ

ワインプロから名前が挙がりやすい国内ブランド、フォルスタージャパンのグランセラーです。 41本収納で熟成用にしっかり容量があり、下段を長期保存専用、上段を飲み頃ボトル用と分けて使えます。 取材した際「業務用の技術を家庭用に落とし込んだシリーズ」と説明されていたのが納得の静けさで、深夜に稼働音が耳につくことはありませんでした。
マジで神ランクの安定感!!とテンションが上がるレベルで、家庭用の中では別格の作り込み。 ただし価格帯も別格なので、本気で熟成に取り組みたい人向けの1台です。
国内老舗メーカーの本気が詰まった41本クラスの熟成向け。
第4位:WIE ワインセラー 12本収納 コンパクトモデル

12本という小ぶりな容量で、寝室や書斎の片隅にも置ける熟成デビュー向きの1台。 3層UVカット強化グラスを採用していて、光による劣化を防げるのは長期保存派には嬉しいところでした。 筆者が試したときは庫内温度のブレが少し大きめで±1.5℃ほどでしたが、価格を考えると健闘しています。
ぶっちゃけ長期10年保存が前提なら、もう一つ上のクラスを選んだほうが無難です。 3〜5年寝かせる程度であれば十分こなしてくれます。
コンパクトで導入しやすい12本クラスの熟成入門機。
熟成を成功させるための運用のコツ
セラーを買ってからが本番です。 筆者がワインスクールの講師に取材したとき、熟成成功のコツとして共通していたのは「開けない」「動かさない」「ラベル管理をする」の3点でした。
意外と見落としがちなのが設置場所。 直射日光は避け、背面と両側に5cm以上の放熱スペースを確保してください。 これを守らないと筐体がギリギリ冷却で動くことになり、長期的なコンプレッサーの寿命に響きます。
熟成ボトルを選ぶときの目安
セラーの性能を活かすには、そもそも熟成に向くワインを入れる必要があります。 取材したソムリエによると、家庭で5〜10年寝かせて楽しめるのはボルドー系の赤、バローロ、北ローヌ、一部のシャンパーニュあたり。 デイリーワインを無理に熟成させても味はあまり変わらないそうです。

筆者の経験では、最初の1本を寝かせる前に2本買って、1本は今飲む、もう1本をセラーに入れておくと後で飲み比べができて面白いです。 味の変化を舌で確認できると熟成の楽しさが一気に増えます。
●横井宗孝
●横井宗孝家電とワイン関連機器を得意とする筆者。 今回はワインショップ数店の店長や酒販店スタッフへの取材とリサーチ、自宅での長期運用経験をもとに熟成向けワインセラーを整理しました。


