インパクトドライバーと電動ドライバーの違いは、ひとことで言えば「回転に打撃を足しているかどうか」です。インパクトドライバーは回転しながらハンマーで叩く仕組みを持ち、長いネジを硬い木に一気に締められます。電動ドライバーと呼ばれる道具は回転だけで、締める力を調整できる「ドリルドライバー」と、手回しの延長で使う「小型電動ドライバー」の2つに分かれます。ホームセンターの棚の前で「どれを買えばいいのか」と固まった経験のある人に向けて、家具の組み立て、棚作り、壁の穴あけ、ウッドデッキ、夜の作業と、場面ごとにどれを持てばいいかを書きます。
ホームセンターと工具メーカーの解説、レンタル会社の比較記事を合わせて5本読み比べ、筆者が10年ほどDIYで3種類を使い分けてきた経験を足してまとめました。
まず、電動ドライバーは3種類ある
| 種類 | 仕組み | 締める力の目安 | 音 | 向く作業 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| インパクトドライバー | 回転+打撃。負荷がかかると内部のハンマーが叩く | 18Vで150〜180N・m | 大きい。打撃音が響く | 65mm以上の長いネジ、硬い木、2×4材、屋外 | 1.5〜4万円(バッテリー付き) |
| ドリルドライバー | 回転のみ。クラッチで締める力を段階調整 | 18Vで40〜60N・m | 静か | 穴あけ、40mm以下のネジ、家具、薄い板、プラスチック | 1〜3万円(バッテリー付き) |
| 小型電動ドライバー | 回転のみ。3.6〜7.2Vの小さい電池 | 3〜10N・m | 小さい | 通販家具の組み立て、ネジの仮締め、機械の分解 | 3,000〜1万円 |
「電動ドライバー」という言葉は、店によってドリルドライバーを指すことも、小型のペン形を指すこともあります。インパクトドライバーだけは名前がはっきりしているので、迷ったら「打撃があるのがインパクト、無いのが電動ドライバー」と覚えておけば、店員との話がかみ合います。N・m(ニュートンメートル)は締める力の単位で、数字が大きいほど太く長いネジを回せます。
違いは「打撃があるか」と「力を調整できるか」の2つ
インパクトは回転に打撃を足して、長いネジを一気に締める
インパクトドライバーは、ネジが硬くなって回転が重くなると、内部のハンマーが回転方向に叩いて、その衝撃で回します。この打撃のおかげで、18Vの機種なら90mmのコーススレッド(木ネジ)を下穴なしで2×4材に打ち込めます。代わりに、締める力を細かく止められないので、薄い板や柔らかい木では締めすぎてネジが貫通したり、木が割れたりします。ビットは六角軸専用で、ワンタッチで差し替えられます。
ドリルドライバーはクラッチで締めすぎを止め、穴もあけられる
ドリルドライバーは回転だけで、先端の「クラッチ」というリングで締める力を10〜20段階に調整できます。設定した力に達すると空回りしてネジを締めるのをやめるので、家具の組み立てでネジ穴をなめたり板を割ったりしにくく、初めて電動工具を持つ人に向きます。先端は「チャック」で丸軸のドリルビットもつかめるので、木、金属、プラスチックの穴あけも1台でこなせます。長いネジには力が足りず、65mmのコーススレッドは途中で止まることがあります。
小型電動ドライバーは手回しの延長。家具の組み立てまで
3.6〜7.2Vの小さい電池で動くペン形やピストル形の道具です。締める力は3〜10N・mで、手で回すより速く楽に締められる程度です。通販の家具に付いてくる短いネジや、六角レンチで回す組み立て家具なら十分で、ネジの最後のひと締めは手回しに切り替えると締めすぎません。木材に穴をあけたり、40mm以上のネジを締めたりするのは無理があります。
場面1 通販家具の組み立て。小型電動かドリルドライバー
段ボールで届く本棚やテレビ台の組み立ては、ネジが短くて本数が多い作業です。筆者は小型電動ドライバーで9割を締めて、最後のひと締めだけ付属の六角レンチで回します。ドリルドライバーならクラッチを一番弱い設定にして使い、板が薄いので締めすぎに気を付けます。インパクトドライバーは、この作業では力が強すぎて、化粧板の裏までネジが抜けることがあるので使いません。年に数回の組み立てだけなら、5,000円前後の小型電動ドライバーで足ります。
場面2 棚や机を作る。2×4材と65mmのネジはインパクト
ホームセンターで2×4材を買って棚や机を作る段階になると、使うネジが65〜90mmのコーススレッドに変わります。この長さを下穴なしで真っすぐ打ち込むには打撃が要り、ドリルドライバーでは途中で止まったり、バッテリーがすぐ減ったりします。インパクトドライバーが本領を出すのはここからで、1本2〜3秒で打ち込めるので、棚1台で50本のネジを打っても腕が疲れません。木の端に打つときだけは、割れを防ぐためにドリルドライバーで下穴をあけてから打つと安心です。
場面3 壁に棚を付ける、穴をあける。ドリルドライバー
壁に棚受けを付ける、板に丸い穴をあける、金属のアングルに穴をあける、という作業は、回転が安定していて力を止められるドリルドライバーの出番です。石こうボードの壁は、下地の柱を探してからネジを締めますが、力が強すぎるとボードが崩れてネジが利かなくなります。クラッチで力を抑えられるドリルドライバーなら、手応えを見ながらゆっくり締められます。穴あけは、丸軸のドリルビットをチャックでつかめるドリルドライバーが本来の道具で、インパクトドライバーは六角軸のドリルビットを付ければあけられますが、打撃で穴が広がり、きれいな穴になりません。
場面4 ウッドデッキやフェンス。屋外は18Vのインパクト
ウッドデッキ、フェンス、物置の土台など屋外の大物は、ネジの本数が数百本、長さが75〜90mm、木も硬いハードウッドや防腐処理材になります。ここは18Vのインパクトドライバー以外では現実的に終わりません。10.8Vのインパクトでも打てますが、バッテリーの持ちと打撃の強さで18Vと差が出るので、屋外の大物を作る予定があるなら最初から18Vを選びます。ハードウッドは硬すぎてインパクトでも下穴が要るので、ドリルドライバーも一緒に持っていくと作業が止まりません。
場面5 マンションで夜に作業する。音で選ぶならドリルドライバー
集合住宅で夜や早朝に作業するなら、道具の種類より音で決まります。インパクトドライバーの打撃音は「ガガガッ」と壁を伝わる大きな音で、隣の部屋まで届きます。ドリルドライバーと小型電動ドライバーはモーターの回転音だけで、扇風機の強運転ほどの音なので、夜でも気兼ねなく使えます。筆者はマンション暮らしのころ、インパクトの作業は土曜の昼に集めて、夜はドリルドライバーで穴あけと仮止めだけ進めていました。
1台だけ買うなら。初めての人はドリルドライバー
3種類のうち1台だけ買うなら、筆者の答えはドリルドライバーです。家具の組み立て、壁の穴あけ、40mmまでのネジ締めをこなせて、締めすぎをクラッチが止めてくれるので、初めての1台で工具を壊したり材料を割ったりすることが少なく済みます。2×4材で物を作り始めて「ネジが長くなった」と感じた時点で、インパクトドライバーを2台目として足すのが、無駄のない順番です。最初からウッドデッキや小屋を作ると決めているなら、順番を逆にしてインパクトから買います。
- 電圧は10.8Vか18Vか。室内の家具と棚なら10.8Vで軽くて足りる。屋外の大物や硬い木なら18V
- バッテリーは同じメーカーで統一する。マキタ、HiKOKI、ボッシュなど、同じ電圧のバッテリーは同じメーカーの他の工具にも使える。2台目を買うときに本体だけで済む
- ビットの軸を確かめる。インパクトは六角軸のみ、ドリルドライバーは六角軸と丸軸の両方。手持ちのビットがあるなら合わせる
- ケース付きのセットを選ぶ。バッテリー2個と充電器が付いたセットは、本体だけより長い目で見て安い
インパクトは長いネジと屋外、電動ドライバーは家具と穴あけ
インパクトドライバーと電動ドライバーの違いは、打撃があるかどうかと、締める力を調整できるかどうかの2つです。通販家具の組み立ては小型電動ドライバーかドリルドライバー、2×4材で棚を作るならインパクト、壁の穴あけと棚付けはドリルドライバー、ウッドデッキは18Vのインパクト、夜の作業はドリルドライバー。1台だけなら、初めての人はドリルドライバーから始めて、ネジが長くなったらインパクトを足す。この順番で買えば、使わない工具が棚に眠ることはありません。
まず、これから作りたい物と、使うネジの長さを1つ思い浮かべてください。40mm以下なら電動ドライバー、65mm以上ならインパクトで、答えは出ます。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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